【ブダペスト観光】女ひとり旅2日間で実際に行ったスポットを全部紹介

ヨーロッパ

ルーマニアのティミショアラからバスに揺られること数時間。13時18分にブダペスト着。

これまでバスくらいしか交通インフラがない東欧の小さな町をぐるぐるとまわっていたせいか、ブダペストのあまりの都会ぶりに、頭がうまくついていかなかった。

いたる所に観光案内所。整備されたトラム、きれいな案内板、Googleマップで完全に調べられる交通網。電車は分刻みで定刻通りにやってくる。なんだか久しぶりの感覚。

まず買うべき、交通カードのこと

ブダペストに着いてすぐ、24時間トラベルカードを購入した。地下鉄・トラム・バスすべてに使えてとても便利。観光スポットはペスト側とブダ側に分散しているので、公共交通機関をフル活用するのが正解だと思う。なにより、電車が分刻みで定刻通りにくるのが気持ちいい。Googleマップがそのままつかえるので、はじめての街でも迷う心配がほとんどない。

1日目——ペスト地区をひたすら歩いた

聖イシュトヴァーン大聖堂——偶然すぎる午後

最初に向かったのは、聖イシュトヴァーン大聖堂。ブダペストを代表するカトリック教会で、高さ96メートルのドームは市内でもいちばん高い建物のひとつだ。

チケット売り場は正面入口の右側にある。近くにスターバックスのある通りが目印で、そこから少し離れた場所にあるので案内の表示を見逃さないようにしたい。入場料は1,200フォリントで、クレジットカードも使えた。

なかに入ったとき、なにか様子がちがった。

着飾った人たちが続々と吸い込まれていく。ドレスアップした女性、ダークスーツの男性。まるでテレビで見るような、映画のワンシーンみたいな登場のしかたで。なにか特別なことが起きているらしい。しばらくすると、音楽が鳴りはじめた。

オペラと生演奏のリハーサルだった。
高い天井まで反響して増幅する歌声と演奏に心が震えた。うるっときた。

時刻は2時半すぎ。3時からはコンサートチケットを持つ人しか立ち入れなくなるらしく、ぎりぎりセーフだった。あと30分遅かったら、あの音楽には出会えていなかった。

聖堂を出た後は、耳に残るうつくしい音楽とともに、石畳の通りをぶらぶらと歩く。カフェやレストランが建ち並ぶ古い建物の間の通りは、絵になる。

靴のモニュメント——ドナウ川で出会った、重い歴史

大聖堂からドナウ川のほうへ歩いていくと、国会議事堂が近づいてくる。川沿いの遊歩道に出たとき、足元に変わったものが見えた。

靴だ。

鉄でできた靴が、川岸に沿って点々と並んでいる。男物、女物、子ども用まで。川に向かって、脱ぎ捨てられたように置かれている。

これは、1944年から1945年にかけて、ナチスに傾倒したハンガリーのファシスト集団によって、この川辺でユダヤ人が銃殺された悲劇を追悼するモニュメント。犠牲者たちは当時高価だった靴を脱ぐよう命じられ、川に向かって撃たれた。60足の鉄製の靴は、2005年に設置されたもの。(参考:Shoes on the Danube Bank)。

対岸にはマーチャーシュ教会と漁夫の砦がうつくしく見える。うつくしさと重さが、同じ視界のなかに共存していた。ブダペストはやっぱり、ただきれいなだけの街じゃない。

国会議事堂と、その周辺

靴のモニュメントから少し歩くと、国会議事堂が姿をあらわす。ネオゴシック様式の圧倒的な建物で、写真で何度も見ていたはずなのに、実物はひとまわり大きく感じた。ヨーロッパ三大議事堂のひとつに数えられる建物で、内部にはハンガリー王が代々受け継いできた聖イシュトヴァーンの王冠も保管されている。内部はガイド付きツアーでのみ見学可能。

ルインバー——廃墟が生まれ変わった、ブダペストらしい場所

その後も無計画に街をぶらぶら。

ここで予想外の出会いがあった。路地を歩いていたら、ディスコボールと蔦と色とりどりのライトで埋め尽くされた空間に迷い込んだ。

ルインバーだった。

ブダペスト発祥の「ルインバー」は、廃墟になった建物をそのまま生かして営業する独特のバースタイルで、ユダヤ人街(第7地区)を中心に広がっている。内部は壁がむき出しのままで、ガラクタのような装飾があちこちにあって、それが妙にかっこいい。昼間でも人が集まっていて、観光客も地元の若者もごちゃまぜになっていた。写真を撮っても、どこを切り取っても絵になる。

Fashion Street から、ディナーへ

夕方になると、Fashion Street Budapestと書かれた大きなサインが光り始めた。ブダペストのブランドショッピングストリートで、石畳の道の両側に洗練されたショップとカフェが並ぶ。聖イシュトヴァーン大聖堂のドームが通りの先に見えて、それが背景になってとてもきれいだった。

17時すぎ、混む前にディナーへ。

頼んだのはおまかせのコース。グヤージュスープ、クリームチーズとなにかに添えられたきゅうり、サラダ、そしてがっつりお肉とポテト。グヤージュスープはハンガリーを代表する牛肉の煮込みスープで、絶品だった。クリームチーズときゅうりの組み合わせは、口に入れてはっとした。すごくあう。新しい発見だった。

デザートまで来てしまった。生クリームとスポンジ生地の組み合わせ。そこまでの料理でもうお腹いっぱいだったのに、意地でも食べてしまった。いやこれ、2,000キロカロリー超えは確実。食後のエスプレッソロングがまた、満腹の胃にちょうどよかった。ハンガリーが「よく食べる国」であることを身体で思い知った。

ドナウ川の夜景——iPhoneでは撮れない光景

食べすぎたお腹の消化のために街を散歩することにした。

ハンガリーのブダペストにあるヴルシュマルティ広場(Vörösmarty tér)ではちょど「Csárdafesztivál(チャールダ・フェスティバル)」が開催されていた。
どうやら毎年8月20日のハンガリー建国記念日にあわせてやるお祭りらしい。
露店にはかわいい雑貨が並んでいてワクワクがとまらない。

再びドナウ川のほうにやってきた。有名なセーチェーニ鎖橋は残念ながら工事中。

2022年夏の時点で大規模な改修工事のまっただなかで、歩行者の通行はできない状態が続いていた。完全に再開通するのは2023年のこと。サマーホリデーのシーズンに、なぜ。と思ったけれど、それほど大規模な改修なのだということなのだろう。

19時40分ごろから、ドナウ川沿いを歩き続けた。夕景から夜景へと変わっていく約50分間に、ふたつの顔を見た。太陽が沈むにつれて空が深くなり、対岸のマーチャーシュ教会と漁夫の砦が光をまとっていく。最新のiPhoneでも捉えられないうつくしさ。あの光景は、目で受け取るしかなかった。

また絶対に来る。そう心に決めた。

そして、にぎやかな夜の光景を楽しみながらホテルへ帰った。

2日目——王宮の丘へ

ブダ側へ——ヴァールバザール、マーケット、伝統フェア

朝イチでドナウ川を渡り、ブダエリアへ。

最初に目に入ったのは、ヴァールバザール(Várbazár)と呼ばれるブダ城のふもとのエリアで開かれていた展示だった。建物の外壁に歴史的な人物の肖像が並び、銅像が向かい合って立っていた。第一次世界大戦を題材にした展示で、「Új Világ Született(新しい世界が生まれた) 1914-1922」というタイトルが掲げられていた。観光で歩いていたら偶然見かけただけだったけれど、こうして歴史の痕跡が街のあちこちに現れるのがブダペストらしい。

鎖橋に近い通りには、屋台が並ぶマーケットがあった。ハチミツや地元の農産物が並ぶ。やはりマーケットは見ているだけで楽しくて好き。

そしてブダ城エリアへ。着いてみたら、お祭りがやっていた。

ハンガリーのそれぞれの地方の工芸品や食べ物などが集まるフェアらしい。

刺繍の布や木工品が並ぶ路地を、ゆっくりと見て回った。かわいくて、おみやげにしたいものだらけで、荷物の重さと相談するのがたいへんだった。

マーチャーシュ教会と漁夫の砦

つづいてマーチャーシュ教会と漁夫の砦にたどり着いた。

マーチャーシュ教会は、色とりどりのタイルで覆われた屋根が特徴。ゴシック様式の塔が青空に伸びていて、そこにカラフルな屋根が組み合わさった造りがうつくしい。

漁夫の砦をのぼると、ドナウ川越しにペスト側の国会議事堂や鎖橋を一望できる。

散策していると、別の場所でもローカルフェア。ヨーロッパの地方の工芸品はほんとうにかわいくてかわいくてたまらない。

ブダ城とマーチャーシュ噴水

ブダ城(王宮)は13世紀に建造された歴史ある建物で、現在は美術館・博物館として使用されている。

マーチャーシュ噴水。ハンガリー王マーチャーシュ1世が鷹狩りをしている場面をモチーフにした狩人の噴水で、複数の人物と犬の像が重なり合うように立っている。

ドハーニ街シナゴーグ——はじめてのユダヤ教施設

ブダ城エリアを後に、ペスト側まで戻ってきた。最後に、ドハーニ街シナゴーグへ向かった。人生ではじめての、ユダヤ教施設への入場だった。

複合施設の敷地に入ってまず目に入るのが、赤レンガとクリーム色の横縞が特徴的な建物。そこから奥へ進むと、玉ねぎ型のふたつのドームをもつ本堂が現れる。

このシナゴーグはヨーロッパ最大であり、世界でも最大級の規模を誇る。

なかに入ると、想像以上でおどろいた。ユダヤ教の施設って、こんなにうつくしいんだ。知らなかった世界の扉が、またひとつ開いた。

天井まで続く3階建ての回廊が左右に広がり、うつくしい模様が壁を埋め尽くす。巨大なシャンデリアがいくつもぶら下がり、天井のステンドグラスから光が差し込んでくる。正面には黄金の祭壇とパイプオルガン。まるでオペラハウスのような空間なのに、たしかにここは礼拝の場だ。宗教の違いとか様式の違いとか、そういうことを考えるより先に、ただただうつくしかった。

中庭の「生命の樹」は、柳の木を模した金属製のモニュメントで、葉のひとつひとつにホロコーストの犠牲者の名前が刻まれている。前日に靴のモニュメントを見ていたぶん、余計に胸に迫るものがあった。

訪問の際は毎週土曜日は閉館、服装は肩と膝が隠れるものが基本で、入場前に空港のようなセキュリティチェックがある。

ブダペストはまた来る街だと確信した

2日間で、ブダペストのうつくしさのうわべしかさわれなかった気がする。でも、それがちょうどよかったのかもしれない。

工事中の橋も、見られなかった名所も、ぜんぶ「次に来るための理由」になった。真夏の19時40分から20時30分のドナウ川の光景を、もう一度見たい。鎖橋の工事が終わったら直接渡りたい。漁夫の砦からの夜景を、今度こそ目に焼きつけたい。教会で心が震える歌声をふたたび聞きたい。

「ドナウの真珠」と呼ばれるこの街は、ひとりの旅人がひとつの滞在でぜんぶ受け取れるほど、軽くはなかった。絶対にまた来ると決めた。

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