ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボの次の目的地は、セルビアの首都ベオグラードだ。
サラエボからベオグラードまで、バスで7時間半ほどの道のり。今回、実際に移動してみてわかったことをまとめておく。チケットはオンラインで事前に買っておくのがいちばんおすすめだということ、乗り場となるイスチョノサラエボバスターミナルへのアクセスが観光客にはちょっとわかりにくいこと、国境越えの独特の流れなど。
まず知ってほしい:サラエボにはバスターミナルが2つある
サラエボのバスターミナルは2つある。そして私は当てずっぽうに来たがゆえに間違ったバスターミナルに来てしまった。


ひとつは、旧市街から歩いてアクセスしやすいメインバスターミナル(Autobuska Stanica Sarajevo)。こちらはトラム停留所のすぐそばにある。


もうひとつが、イスチョノサラエボバスターミナル(Istočno Sarajevo Bus Station)。こちらは旧市街から7〜8キロ離れた郊外にあり、サラエボの行政区分でいう「スルプスカ共和国」側に位置する。ベオグラード行きのバスが出ているのは、基本的に後者のイスチョノサラエボバスターミナルの方だ。
わたしはこれを知らなかった。
メインバスターミナルへ、1時間歩いた末に
前日のうちに翌日の移動チケットを手に入れておきたかった。宿のあった旧市街エリアから、バスでメインバスターミナルに向かおうとしたのだが、路線がわからない。アプリで調べても、どのバスに乗ればいいのかがはっきりしない。
結局、歩くことにした。
1時間かけて、ようやくたどり着いたメインバスターミナル。汗をかきながらカウンターに向かい、「ベオグラードに行きたい」と伝えると、ひと言こういわれた。「ここでは売っていない。」
力が抜けた。1時間歩いた意味は、なんだったのか。
結局、事前にネットで調べてオンラインで予約して指定のバスターミナルから出発するだけのかんたんな話だった。なにを思ったか、よく調べずに行動してしまった反省。
イスチョノサラエボバスターミナルへの行き方
翌朝、あらためてイスチョノサラエボバスターミナルを目指した。住所はSrpskih vladara 2, Lukavica 71123。旧市街から公共交通機関で行くのは、正直かんたんではない。
トロリーバス107番に乗れば行くことができる。運賃は1.80 KM(ボスニア・マルク)。ただし、本数が多いわけではないので、よゆうをもって動くとよい。
タクシーを使えば確実で早い。旧市街から20〜30分ほどで着くはず。
チケットはターミナル窓口で買うこともできるが、busticket4.me でオンライン購入もできる。わたしは前日の深夜にここで予約した。画面の指示に従えばかんたんで、確認メールもすぐ届く。料金は24.50€(うち1€は予約手数料)。バス会社はCentrotransだった。
タイムテーブルはBalkanViatorでも確認できる。出発前にスクリーンショットを撮っておくと、オフラインでも確認できて安心だ。
バスターミナル:朝の過ごし方
バスの発車時刻は8時。早朝から動かなければいけない。

まだうすぐらい頃にホテルを出発しバスターミナルに着いた。ひんやりした空気の中、雲の切れ間からうっすら朝日が差し込んでいる。こういう早朝の出発には、旅に出た実感みたいなものがある。
ターミナルではなにかにつけて手数料を取られる。チケットを買うと、ターミナル使用税として2 KM。トイレを使いたければ、さらに1 KM。手元に現金のボスニア・マルクを用意しておく必要がある。
バスの出発までしばらく時間があった。
ターミナルのすぐそばにPekara Ukrina 2というパン屋があり、朝6時からやっている。ここで焼きたてのパンを買った。バルカン半島のパン屋(ペカラ)は、どこも安くておいしい。長時間のバス移動には欠かせない存在だ。

同じく朝から営業しているターミナル内のカフェ&バーでコーヒーを一杯。バルカン半島おなじみのエスプレッソとお砂糖。ゆっくり飲みながら時間をつぶした。
7時を過ぎると売店がオープンし、お菓子や飲み物が並ぶ。品ぞろえはあまりよくなく、値段も近くのスーパーより割高だ。毎回「前日にスーパーで買っておけばよかった」と思うのだが、だいたい前日にそんなよゆうはない。
バスに乗る
続々と人が集まってきて、バスはほぼ満席になった。
8時発のはずが、なかなか動かない。8時12分、ようやく出発。
理由は単純だった。運転手がひとりでチケット確認をして回っていたのだ。発車してからチェックしに歩き回る人員がいないから、出発前に全員確認しなければいけない。そりゃ時間がかかる。
バスは大型の長距離バスだが、テーブルも電源もWi-Fiもない。でも、ラジオがかかっていた。穏やかなBGM。これが運転手によって変わるらしく、たまにゆったりした音楽が流れているバスに当たると、ちょっとうれしくなる。
近くの席のマドリード出身のイケメン男性が話しかけてきて、ちょっぴりテンションがあがった。
途中の休憩と、バスが行ってしまわないかの恐怖
バスは途中、田舎の小さなバス停にも止まりながら進んでいく。大きなバスターミナルに近づくと、続々と乗客が乗り込んできてほぼ満席に。
1時間半おきくらいに休憩がある。売店とトイレがある少し大きめのバスターミナルに着くと、長めに止まる。乗客がぞろぞろと降りていく。
ここで困るのが、運転手が何も言ってくれないことだ。言っていたとしても、ボスニア語だからわからない。何分止まるのか、どのタイミングで出発するのか、まったく読めない。
だから毎回、周りの乗客の動きをひたすら観察する。「休憩だよね?」と隣の席の人に確認したりもする。
そして何より怖いのが、トイレに行っている間にバスが行ってしまうことだ。運転手は人数確認など一切しない。気ままに、何も言わずに出発する。だから、運転手や常連客っぽい人がまだタバコを吸いに外に出ていれば、ちょっと安心できる。それが唯一の目安だった。
国境越え:ボスニアからセルビアへ

12時30分ごろ、国境に到着した。地名でいうと、ボスニア側がカラカイ(Karakaj)、セルビア側がマリ・ズヴォルニク(Mali Zvornik)。ドリナ川を挟んで向き合う、ふたつの国の境界だ。
ボスニア・ヘルツェゴビナ側の国境では、バスを降りてパスポートを提示する。列に並び、スタンプをもらう。それからまた乗り込み、バスは数百メートル進む。

セルビア側の国境では、今度はバスの中でパスポートを回収された。係員が乗り込んできて、乗客全員のパスポートをまとめて持っていく。しばらくして、スタンプが押されて返ってくる。降りなくていい分、楽ではある。でも、自分のパスポートが手元にない時間というのは、いつまでも慣れない緊張感がある。
国境での待機時間は、このときで約30分。昼間の越境では標準的な時間だと思う。時間帯によっては1時間以上かかることもある。観光バスが重なると、さらに長くなる。
13時7分、無事セルビアに入った。バスが速度に乗り始め、景色が流れ出す。
ベオグラードまで、もうすこし。
ベオグラード到着

7時間以上バスに揺られ、15時35分、ベオグラード・メインバスターミナルに到着した。
なんだか久しぶりに活気のある街に来た。
モンテネグロのコトルも、ドゥブロヴニクも、サラエボも、それぞれおだやかだった。どこかのんびりした時間の流れ方をしていた。ベオグラードはちがう。車が多く、人が多く、看板が多い。キリル文字の文字がならぶ街なみに、確かな都市のにぎやかさがある。
まとめ:サラエボ→ベオグラード バス移動のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発ターミナル | Istočno Sarajevo Bus Station(住所:Srpskih vladara 2, Lukavica 71123) |
| 旧市街からの行き方 | トロリーバス107番(1.80 KM)またはタクシー |
| チケット購入 | ターミナル窓口 or busticket4.meでオンライン購入 |
| チケット料金(2022年) | 24.50€(Centrotrans利用、予約手数料1€含む) |
| ターミナル使用料 | 2 KM |
| トイレ料金 | 1 KM |
| 出発時刻 | 8:00(Centrotransの場合) |
| 到着時刻 | 15:35(ベオグラード・メインバスターミナル) |
| 所要時間 | 約7時間35分 |
| 経由地 | Pale → Sokolac → Han Pijesak → Zvornik → Šabac ほか |
| 国境の場所 | カラカイ(ボスニア側)/ マリ・ズヴォルニク(セルビア側) |
| 国境越えの方法 | ボスニア側:降車してパスポート提示 / セルビア側:車内でパスポート回収 |
| 国境での待機時間 | 約30分(時間帯によって変動) |
| バス設備 | テーブル・電源・Wi-Fiなし。ラジオあり(運転手による) |
※上記の情報は2022年夏時点のものです。


