女ひとりで世界一周の旅に出た

つぶやき

大学4年生の夏、バックパック背負ってひとりで世界一周の旅に出た。旅の記憶を忘れないうちにメモを残しておこうと思う。内容は大きく「旅に出たきっかけ」と「旅で得た知見」の2つだ。

旅のきっかけはコロナウイルス(COVID‑19)の流行

もともと旅行が大好きで、大学生になる前から
「大学生になったらとにかく旅行しまくろう」と決めていた

もちろん2019年、大学に入学した年はまだコロナなんてなかったから、
時間とお金が許す限り旅行にもたくさん行けた

ところが、大学2年生になるとコロナパンデミックが始まり
今までのような日常はどこかへ消え去った

大学2年生といえば青春真っ盛り

ハタチになってちょっぴり大人になって
だけどまだまだ自由の身で
なんだって好きなことができる
人生で本当に貴重な時期なハズだった

そんな時間を厳しい行動制限によって奪われてしまった悔しさはとてつもないものだった

ピースボートとの出会い

気づいたら大学3年生で、就活もはじまり
急に何か自分の中で、このまま大学生活が終わることにとてつもない虚しさを感じた

そして何か「今しかできず、しかも、普通じゃないすごいことを成し遂げたい
という欲にかられた

そんな中、就活中のストレス発散に海外旅行のことをいろいろ調べていた時に出会ったのがピースボートだった



ピースボートといえば100日間で世界一周する船旅で有名なあれ

もともと居酒屋とかいろいろな飲食店に貼ってあるのを見て存在は知っていたものの
とにかくいかにも怪しい
怪しい広告だと思っていたために真剣に申し込もうとか考えたこともなかった

でも「世界一周」とググっていると私のスマホによく現れるようになったので、
いつしか本気で調べ始めるようになっていた

ネット上には散々デマ情報があるけれど
ちゃんと調べてみるとどうやら怪しい集団ではなく
国際協力活動をやっている純粋なNGO団体らしいことが判明

そこで試しに資料請求してみた

今考えるそれが私の夢を叶えるための第一歩だったと思う

Miho
Miho

気づいたら説明会に参加して
気づいたらピースボートセンターにいて
気づいたらボランティアして
気づいたらたくさんのすてきな仲間に出会っていた

コロナの打撃再び

念願だった世界一周ができることに私はずっと胸をおどらせていた

しかし、残念なことに2022年8月出航のピースボートの出航の中止が発表された

いつも元気なピースボートスタッフが深刻そうに「どうしても口で伝えたくて」と連絡してきた

海外側の港の受け入れ態勢が整っていないとかなんとか…

とんでもない喪失感に襲われた

諦めきれない世界一周旅行

8月出航の船がダメなら次の回の船でいいじゃないかと思われるかもしれない

でも私にとってはこの回がラストチャンスだった

休学すれば他の回でもよかったけど
中止が発表された時点では、もう就職先も決まっていたし
休学するための時間もお金も余裕がなかった

そして何より休学したくなかった
なぜかって、とんでもなく悔しかったからだ

もし休学すると最初から決めていたなら
もっともっとたくさんやりたいことがあったけど
休学という道は選ばなかった

だったらもう限られた時間の中で
自分ひとりでも世界一周してやろうじゃないかと
決意を固めていた

出航中止が発表されてからかなり早いスピードで旅の手段を“ひとり旅”に変更した

そして結果的に、ひとりで世界を飛びまわることができて本当によかったと思う

世界一周を終えて

世界一周中、The world is your classroom(世界はあなたの教室だ)ということばに出会った。まさにそのとおりだと思ってびびっときた。

時に国境越えの長距離バスの逃げられない状況で酒とカジノに溺れる男にセクハラされたり、
時にすてきなレストラン街で1人で入れるか聞いてまわって片っ端からお断りされ、
時にロッカーや荷物預かりサービスがない村で、肩に食い込む荷物を置かせてもらうために一軒一軒まわって交渉したり、時にお金を取ろうと騙そうとしてきた人と大喧嘩したり、草むらに連れ込まれて迫られたり、世の中の厳しさを教えてもらう。

良いことも悪いことも、いろいろな人に出会い、いろいろな大切なものを教わった。そんな気づきを忘れないうちに書きとめておきたい。

21歳の私が社会に出る前に得られてよかった知見
  • 自分が生きたい理由・生きるインセンティブ
    世界一周中のある日、街を歩いていた時にふと空から降ってきた「私しあわせだな」って感情。世界が美してくて美しくてたまらないと全身で感じたあの瞬間。「私はもっともっとこのうつくしい世界を見たい。そのために生きよう、そのために働こう。」心からそう思った。
  • 自分がお金をかせぐ理由
    私がかせぐ目的は「好きなときに好きなだけ世界中を不自由なく飛びまわる」ことだ。普段ただ仕事だけしていても何のために働くのかわからなくなる。大好きな旅に思い切ってお金をつかった経験を通して「また旅するためにがんばろう、働こう」と仕事へのモチベーションが上がった。

  • お金を稼ぐ難しさ結局お金は必要であること
    どの国のどの人もあらゆる手段を使って今日を生きるために知恵をふりしぼっている
    なんだかんだお金は必要である
    お金がないと余裕がなくなり、ゆえに人格が変わることも、人を傷つけ人との関係が悪くなることも、誤った方向に進むこともあるからだ
    自分の人生を自分主導で生きるために最低限必要なお金はあったほうがいいと痛感した
  • 自分の判断基準
    そこに行くか行かぬか、あるモノコトにお金を払うか払わぬか迷った時、私はいつもこれをしなかったら後悔するか?と自分に問いかけるようになった。ひとりで旅するといかに自分の判断基準を持っておくかが強く生きる糧となるか思い知らされる。

  • プライシング思考の重要性
    旅に出るリットの一つにマーケット感覚が身につくというのもある。すべての商品に値段がついて売られている日本とはまったく別の世界。相場とか値札とかない、相手の顔色を見て、相手が日本人と見て値段を言ってくる彼らに対して、自分はこの値段で買うと示す、自分が価値を決めて自分で指定する感覚、あれは海外の途上国・新興国でしかできないとつくづく思う。割引率でも、言い値から何%下げるのがいいとかでもなく、「誰か他人がつけた値札から何パーセントオフ、ではなく、自分の価値基準に照らして妥当な値段か」が大事。自分にとっていくらが妥当なのか?そのプライシング思考を常に持っておくことが重要だしそれを鍛える良い機会となった。
  • 旅の価値は人との交流であることとそれゆえの言語習得の必要性
    英語を話せることがどれだけ自分の人生を豊かにするか
    それはより深いコミュニケーションを生み出す
    より深い友情関係を、より広い交流関係を生み出す
    日本語を話す人は世界で何人何分の1?
    わたしはそれだけ少しの人としかしっかりわかり合えないのか?それでいいのか?
    日本語しか話せないことでどれだけ人生損してるか痛感した
  • 暇つぶしの技術は人生を豊かにする
    待ち時間をいかにストレスなく過ごすかという課題をこの旅でずっと抱えてきた。ぼんやり人々を観察していたわけだけど、インスタやらなにやらスマホを開いて更新して、ため息ついて舌打ちして、あきれた顔して何度も列の先頭をみてモタモタしてる人をにらみつけて。そんな人は大抵スマホをこまめにチェックしては列を見ての繰り返し。
    一方、おそらく旅慣れた旅人は待ち時間にたいてい本を読んでいてなんか余裕そう。
    本に集中していてイライラなんて全くしていない。この温度感はなんなんだろうと思い、余裕そうな旅人の真似してみたら本当に心に余裕ができた。待ち時間が苦ではなかった。私もこれまで待ち時間はスマホをみては閉じて列にいらだつの繰り返しだった。
    待ち時間は待つのではなく他に集中できるなにかを見つける、自分が好きなことを消化する時間に変えること。これが1番だと私は思うようになった。
    同じ10分でも自分中心の10分は秒なのに、他人をまつ10分はとんでもなく長い。だけどそれをかえればい。

  • 日本は知らないところでよく頑張っているということ
    「日本はもうダメだ」は昨今よく聞くワードだ。しかし世界を歩いてみると意外とそんなこともないことに気づく。
    「日本人はいい人だ、日本はうつくしい、日本の製品はすごい」
    車にカメラに電化製品…世界中の至る所で日本製品をみかける。
    何もしていないのにいい人だ、やさしい人だというバイアスがすでにかかっている。
    どれもこれも先人たちのおかげであり、少なくとも私はその恩恵をこうむった。

最後に

世界一周は私にとって ”死ぬまでにしたいことリスト” のひとつだった。お金も時間もなかったし、「いつか」叶えたいものだった。

ある日その夢を叶えた時、自分が生きる意味、働く意味を知ることができた。「もっともっとこのうつくしい世界を見たい。そのために生きよう、そのために働こう。」そう思える経験を21歳という社会人になる前の段階で知れたことは自分の人生の軸を確立するうえで重要な経験だったと思う。

もともと自分のことが大嫌いで大嫌いで憎くて惨めで不幸で寂しくてたまらなかった。変わりたい変わりたい、変わることを念頭に行動していても変われなかった。ただ、自分が本当に心からしたいと思っていたことをしたら、知らぬ間に変わっていた。自分の人生に誇りを持てるようになっていた。


この世はあまりに不平等で、能力、環境、言い出したらキリがない。自由に使える時間だって不平等だ。だけど、時の流れと人生が一度きりであることだけは平等だ。

わたしはこの先もずっと、このうつくしい世界を冒険しつづけたい。

タイトルとURLをコピーしました